感想のページ 作者「そ」

ふつうの学校2
-ブラジャー盗難事件の巻-

蘇部健一
青い鳥文庫
(2005.10/13読了)

ふつうじゃない学校で起こる強烈な個性の稲妻先生と普通の小学生たちが織り成す学校生活を綴った連作短編集。

小学上級から。
……ホントか!?ホントに小学生に読ませていいのかコレ!?

・「稲妻先生の家庭訪問」
生まれたばかりの仔犬の貰い手が見つからない。
稲妻先生のとった「手」とは。

生徒への借金取立て方法ひでぇ(笑
ギャンブルかよっ(笑
フィギュアの相場とかちゃんと調べたのかなぁソブたん。

・「にわか放送部は大混乱」
AV(オーディオヴィジュアルね)会社と学校との癒着があったらしいとの噂が囁かれる。
そして学校に設備が整い放送部が設立。
稲妻先生が間違って昼休みの全校放送で「エマニエル夫人」を流してしまい……。

エマニエル夫人がなんなのか分からない人は検索でもしてください。
アキラ君はませガキだと思います。

・「遠足はいつも憂鬱」
バスに乗ると必ず酔ってしまう人のためにバスに酔う人は電車で遠足に行こうという提案する稲妻先生。
しかし教頭先生はそれを遠足は団体行動だ、と言ってつっぱねてしまう。
そこで稲妻先生は教頭先生にバスに酔ってしまうことを擬似的に体感させる計画を練る。

稲妻先生がえらくカッコイイ。
……バスに酔う自分のためなのかもしれないが。
あとは遠足ならではの甘酸っぱいエピソードが色々と。

・「初恋の人を探せ!」
クラス一の美少女のナナちゃんがおばあちゃんの初恋の人を探してほしいという。
そこでクラス一クールな名探偵の六さんとアキラで探すことになったのだが……。

蘇部健一は「六枚のとんかつ」というミステリでデビューした作家です。
ミステリに見せかけてこれは実はという(笑
ソブたんいいものを書くようになったよなぁ。
感動系作家に転向したら実はヒットするんじゃなかろうか。

・「ブラジャー盗難事件」
プールの時間中にサトミちゃんのブラジャーが消えた。
犯人探しがはじまる。

なんだかんだ言ってもやっぱりミステリ者な作者だと思わせる一編。
この本って短編集に見えて実は「連作」なんだよなぁ。
様々な要素があってたどり着くのがここ。

・「エピローグ」
オチが最高にいいです。
3巻を読めということなんでしょう(笑

絶対ネタだろうな、と思ってたけど意外に楽しめた。
小学生が楽しめるかどうかは分からないけど。

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六とん2

蘇部健一
講談社ノベルス
(2005.10/10読了)

あのアホバカミステリと言われ挙句の果てに壁に投げ飛ばされたあの本が帰ってきた。
『六枚のとんかつ』の2作目(?)ということで『六とん2』。
蘇部健一に毒された読者の方々必見。
怖いもの見たさの人もどうぞ。

11編からなる短編集。
途中には真相がまる分かりな絵が収録されているので本をペラペラめくるべからず。

ここから下
ネタバレがあるため読んだ人だけ分かってください。


グループA
最後の事件
あぁもうなんだよコレっ。
しょっぱなから電車の中で思わず本を地面に叩きつけようかと思った。
すんばらしいダイイングメッセージもの。

三食パンの秘密
なぜ毒は多く含まれていたのか。
( ゚Д゚)ポカーン
あぁなるほど三食パンか。

甘い罠
一瞬読後に訳が分からなかった。
よくよく考えてみるとヽ(Д´ )ノ。
あそこで犯人があぁ言っていたから嘘ついてたってわけかよっ。

グループB
午前一時のシンデレラ
半下石…これでいいのか。
これじゃあタイトルどおり「シンデレラ」じゃないか。
犬が大活躍。

行列のできるパン屋さん
正直泣ける話(泣けないけど。
なんていうかこのトリックは泣ける。

姿なき目撃者
一体誰が犯行を見ていたのか。
犯人を悩ませる様々なところから聞こえてくる「(犯行を)見たぞ」の声。
こう書くとおもしろそうなんだけどなぁ。
都心だからこそありえる犯行かも。

読めない局面
伏線なんてさっぱりないけど話としては好き。

グループC
誓いのホームラン
後味がっ。後味悪っ。

地球最後の日?
侵略か友好か。そんなのはもはや問題ではないのです。

叶わぬ想い
蘇部健一の作品『届かぬ想い』の後味を解消しようとしたらしい。
ラストの絵がぁぁぁ。

きみがくれたメロディ
認めたくはない。
しかしこれが現実なのか。
個人的な話、これを乙一の『きみにしか聞こえない』と比べても構わないような傑作のような気がしてならない。
感動作です。
まさかこんなのが『六とん』という本の中で読めるとは思わなかった。

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六とん3

蘇部健一
表紙イラスト:江草天仁
講談社ノベルス
(2007.5/11読了)

最近ネットで「あとがきはおもしろい」とか「あとがきだけおもしろい」という評をよく目にするので、かなりのプレッシャーである。

蘇部健一『六とん3』あとがきより引用

表紙がこれっっっ。
びっくりした。
前がテトリスだっただけに、今度もなにかゲーム系か。
それともとんかつに戻るのか、とか思ってたが。

江草天仁!!?
びんちょうタンじゃないか!

表紙で泣く。
イラストなのは別にいいんだよ。
いまさら気にもしない。

メフィスト賞でいうと西尾維新が出てきたあたりからもうなにも気にしないことにした(笑

で、表紙。

小銭を握り締めてなにを買おうとっ。
なに「六とん」買おうとしてんだよっ orz
こんな本との出会いはいらないって orz

あの子は実際にあの本を読んで、どこで嘆き悲しみ、そしてあの本を投げつけるのだろうと考えるといたたまれなくて仕方ない。

哀愁を誘うのは著者近影だけでいいのにっ。
著者近影もなんか写真が古びてきたのかなんか「うああ」と声にならないため息のような声をあげそうになる出来。
それはそれですばらしい。

これぞ蘇部タンの著者近影(笑

さて、まったく中身の感想を書いていないので、ここより下から感想。


もうひとつの証言
くだらない。
どこがおもしろいのかよく分からないくらいにくだらない。
感想もパス。

アリバイの視覚
なぜ、これに写真をつけないのか。
確かに微妙すぎて苦情があってもなんともいえないが…
それでもっ。
それでもこれにこそ動かぬ証拠を見せてもらいたいものである。

トリック?
六とんにトリックは必要なのですか?(笑

生涯最良の日
「おとめ座のあなた、今日死にまーす」。
ジャンプの銀魂でそんな話があったが、逆におとめ座がツキまくる話。

オチは好き。
刑事にとってこれほど理解に苦しむ事件なんてのもないだろう。

もうなんてーか名探偵呼んでこい(笑
半下石警部じゃムリだってw

×××殺人事件
ひどい。
これはひどい。
展開も内容もオチもひどい。

殺ったのはだれだ!?
唖然とした。
というより苦笑した。
このラストはないだろ(苦笑
ちょっと前に同じテーマの長編が講談社ノベルスから出ていただけに。
これぞトホミス。

瞳の中の殺人者
結構これは好きである。
どこらへんでミステリになるんかなぁ、と思ったらラストらへんでか。
実は未来予知じゃなくて自分の記憶ってのはうまいんじゃないかな。

死ぬ
鬱系だな…
なんか蘇部健一の長編でなんかげんなりする感じが凝縮されたような。
実にげんなり。

嘘と真実
嘘に踊らされる人々を描いて、でもってラストにあのオチ…ね。

栄光へのステップ
うまいっ。
これいいなぁ。
ラストのイラストもすごく効果的。
ぜひこれを世にも奇妙な物語でやって欲しいものである(笑

秘めた想い
想い三部作の最終作?
いつものようにタイムマシンに乗って過去へ行こう、というものだが…
またかっ。
またこの展開かよ。
なぜ自分の20年後のような人が憬れの人の配偶者なのかの謎があれだとは orz

赤い糸
まるでドラえもんに捧げられた作品。
なんでここまで名作なんだ。
六とん2のときもそうだったが、ラストは感動系で〆るというのは恒例なのか。
大好きである。


トホホなミステリ=トホミスを謳った『六とん3』だったが、なかなかどうしてトホホにもなかなかよさげなものがあったりとか。
ちょっと予想と違ったけれども買ってよかったと思えた。
やっぱりこれくらいの比率がいいですって。
トホホなのと普通なのとの割合は。

……普通なのの中になんかげんなりするのが増えたなぁ。
でもそれはそれで好きなんでOK。

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届かぬ想い

蘇部健一
講談社ノベルス
(2006.3/27読了)

幸せな結婚をして、幸せな家庭を築いていた主人公。
しかし子供が誘拐され殺されてしまう。
ショックで妻は自殺。
誘拐犯も見つからず、子供も本当に殺されたかどうかが分からないまま時が過ぎた。
再び運命の人とめぐり合い、再婚し子供をもうけるが…

感想

('A`) スクワレナイ

「六とん2」に入っていた短編と似たような、と聞いていたので予想はしていたけど…

なんて後味の悪い。
けど伏線の消化から来る後味の悪さとやりきれなさのようなものは嫌いじゃないです。

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長野・上越新幹線四時間三十分の壁

蘇部健一
講談社文庫
(2009.2/27再読)

そして、ふたりが長野新幹線のホームへと駆け上がったとき、あさま513号のドアはまさにちょうど閉まりきったところだった。しかし、山田はふらふらになりながらも新幹線の前まで行き、閉まった鉄のドアをどんどんとたたいた。だが、列車はドアをあけろという要求を無視してゆっくりと動きはじめた。

『長野・上越新幹線四時間三十分の壁』本文より引用

薄い本が読みたかったので再読。

アホバカミステリといわれた『六枚のとんかつ』の作者蘇部健一の2作目『長野・上越新幹線四時間三十分の壁』。
中短編集。
文庫版解説は大倉祟祐。
解説とあとがきはこの本の中でもかなり面白い話だと思います(ぇ

鉄道のアリバイ崩しの表題に加え、全4編を収録。

表題は六枚のとんかつの何編かで活躍した半下石警部が活躍。
相変わらず珍妙で軽快で時々寒いトークが光りってます。
知力と体力を尽くして戦うとはまさにこのことだろうw
しかし…
悪くないんだよなぁ。
アリバイ崩しとしても。
ノベルス版を圧縮改稿してて、非常に読みやすくなってるんだけど、やっぱり印象が薄い。

やはり他の短編集が絶句するようなものが多いためであろう。
悪くないミステリであるために、印象がない orz

だからか、後ろの方に収録されている短編およびショートショートが楽しくてしかたない。

特に「指紋」とか「2時30分の目撃者」。
これだ!
やっぱりこういうものこそが蘇部健一だと思う。
むしろこういうものを読みたいものです。
バカバカしすぎるというか、逆にこういうものはきっと誰も書かないというか(笑

収録話:
・ 『長野・上越新幹線四時間三十分の壁』
・ 『指紋』
・ 『2時30分の目撃者』
・ 『乗り遅れた男』

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木乃伊男

蘇部健一
講談社ノベルス
(2005.6/8読了)

昔から布部家に伝えられるミイラ男の伝説。
入院している病院で聞かされる
「病院内でミイラ男を見たら、見た人は死ぬ」という噂。
そして入院中の主人公、布部正男と同じ病室に入院することになった自称ミイラ男。
あっ、と驚く場面をイラストで表現するという斬新なミステリ小説。

感想

斬新…
うーん。斬新っちゃあ斬新なのかもしれないが。

微妙な気分になれました。

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