感想のページ 作者「高田崇史」

QED 龍馬暗殺

高田崇史
講談社ノベルス
(2005.9/18読了)

高知の山奥の村が嵐によって外界と閉ざされてしまう。
村を訪れていた祟や奈々たちの目の前で殺人と自殺が起き…。
そんな中、龍馬暗殺を決定づける手紙が村にあることを知る。

QEDシリーズ第7弾は「龍馬暗殺」。
事件そのものはおいておいてタイトルの方の謎にちょっと触れてみる。
確かに現存する龍馬の手紙を見ると確かに筆者が言ってる通りなんだよなぁ。
そこから導き出される帰結に、なるほど。
毎回思うんだけど、「あぁそうか。そうも考えられるのか」とは思えるんだけど、日本史などには不勉強なために「こうも考えられるんじゃないだろうか」というところにまでたどりつけないのが残念。
(でもどこから調べてみたら面白そうかという足がかりにはなると思う。)

目次のページへ戻る

QED -ventus- 鎌倉の闇

高田崇史
講談社ノベルス
(2005.10/4読了)

QEDシリーズ第8弾。
今度は鎌倉の歴史。
源氏と北条氏の謎を解き明かす。

源頼朝からはじまった鎌倉時代は結局のところ北条氏の手のひらの上で踊っていただけの時代だったというのはあまりにも有名な話だと思う。
けれどもそこからどんどん奥深いところまで辿りついてしまうのがQEDシリーズ。
源氏側に起きる数々の暗殺の謎。
鎌倉は神坐が語源ではなく実は…など。
この『鎌倉』読んでから鎌倉を歩いているのもおもしろいかも。
(実際に高田崇史公式ファンクラブでやったようです。 > 鎌倉ツアー

目次のページへ戻る

QED 鬼の城伝説

高田崇史
講談社ノベルス
(2005.8/11読了)

岡山県総社市の外れに大きな釜が鳴ると凶事が起こるという言い伝えがあった。
そしてその伝説は今でも続いているという。
ジャーナリストの小松崎と駆け出しジャーナリストの棚旗沙織、その姉の棚旗奈々はその伝説が残る場所へと向かった。

大学時代にオカルト同好会の会長、そして趣味は寺社仏閣巡りという歴史にめっぽう強い薬剤師「桑原崇」と祟の大学の後輩で普通の薬剤師の「棚旗奈々」が活躍する歴史ミステリQEDシリーズ第9弾。

今回のテーマは「桃太郎」。
桃太郎の発祥、そして童話として残った理由。
鬼とは一体何者だったのか。
何故鬼をこらしめるお供が犬猿雉だったのか。

普段気にしなければ気にも留めない物語。
しかし、その裏には壮大な謎があった。
そういった謎を解き明かしていく過程を楽しむのがQEDシリーズの醍醐味だと思う。


第9弾にして崇と奈々の間が進展した(かなぁ)というところも今回の見どころかな

目次のページへ戻る

QED -ventus- 熊野の残照

高田崇史
講談社ノベルス
(2005.9/25読了)

『QED』10作目。
古来から黄泉の国とも謂われていた熊の三山。
熊野本宮大社、熊野速球大社、熊野那智大社の神々に隠された真実とは!?
オマケで南関西の地図がついています。


日本全国どこにでもあった――日本だけでなく世界中のいたるところにあった風習。
神を信仰していて、その神の加護に対する代償をこの世界において差し出す。
代償に対する対価はどこにいても必要。
神聖なものに対しては神聖なものを支払う。
そういったことが近年まで――いや実際に続いていたとしたら……。
作者の高田崇史氏は現地の人たちにも取材を試みる人らしいし。
神を信じる人たちの風習だから仕方がないと言ってしまえばそれだけ。
でもこれは…。
新たな代償とできるものを探すのか、それとも神仏に対する信仰をやめさせるのか。

さすがにあの結末が今は風習として残っていないオリジナルの創作であることを願いたいと思った。

目次のページへ戻る

QED 神器封殺

高田崇史
講談社ノベルス
(2006.1/20読了)

前作『QED ventus 熊野の残照』に引き続き、舞台は和歌山。

首と右手首が切り取られた死体と三種の神器をめぐる古の人々が日本に対して行なった壮大な計画の関連とは!?

QED11作目は三種の神器にまつわる話。

感想

袋綴じです。
この袋綴じは正解やね。
見ちゃいけないものがいっぱい詰まってます。

いつものQEDといっちゃいつものだけれども、
今回明らかにいつもと違ったのは『毒草師』の彼の存在でしょう。
今後絡んできそうだなぁ。
あの二人の間に入り込んでくるのか、それとも祟との対決か。

 

日本って一体なにを封じ込めているんだろうな...

目次のページへ戻る

QED -ventus- 御霊将門

高田崇史
講談社ノベルス
(2006.10/7読了)

将門公が怨霊じゃないって……一体どういうことですか!

『QED~ventus~御霊将門』本文より

QED12作目。

今回は東京から茨城までの将門公にゆかりのある地を巡る。

なぜ将門公は何故怨霊として恐れられたのか。
果たして本当にそうだったのか。

将門公の怨霊を調伏したという成田山新勝寺の謎から、昭和初めに起こった国会議事堂建設時の将門公の祟りの謎を桑原祟が解き明かす。

 

ventusシリーズの方は特に読後に旅に出たくなるのはなんでだろ(笑
高田崇史といく日帰りツアーの応募券が入ってたから送ってみるのもいいかもしれない。
この本にしてこの企画あり、って感じだ。

ラストに次への伏線っぽいのがあったがあれは…

目次のページへ戻る

QED 河童伝説

高田崇史
講談社ノベルス
(2007.2/9読了)

「人や馬を川に引きずり込む。人を溺れさせる。厠から手を出して女性を襲う。好物はキュウリ。頭の皿が乾くと死んでしまう。あ、あと、医薬に精通している-」
「そうだね。それと、鉄などのカネ気の物を嫌うとか、今言ったように相撲を好むとかだな」
「何か、バラバラな趣味だな」
「いや、熊つ崎。これらは全て趣旨が一貫しているんだ。全部同じことをいってる」

『QED 河童伝説』本文より

QED13冊目。
今度は「河童伝説」。

河童とはなんだったのか。
ここまでバラバラかと思える「河童」に関する記述がすべて一つのことに収束していくとは。

少しずつ事実がゆがめられて、現代に伝説や怪異譚として伝わっているよなぁ。
すべてが事実を遠まわしに、虐げられた者たちを人間とはまた別の存在としてみなしたからこそ、こういう風に伝わってるんだろうなぁ、ということをQEDを読んでていつも思わされる。

事件の方も終始河童と関係のある「なぜ腕を切られていたのか」という河童になぞらえたような事件と絡めてあったので、あぁなるほどと思った。

目次のページへ戻る

QED~flumen~ 九段坂の春

高田崇史
講談社ノベルス
(2007.8/18読了)

人間は何も知らなくても、それなりに生きていけるもんだ

『QED~flumen~ 九段坂の春』本文より

何も知らなくても生きていけるといっても、逆に言うのならまだまだ知らないことはいくらでもあるということ。
そしてこのQEDシリーズで示される解答はたった一つの見方。
まだまだ他の見方もあるかもしれない。
読むたびにそんなことを思わされる。

QEDシリーズ14冊目。
シリーズ最厚と思ったら短編集。
しかも一段組みか orz
でもレイアウトはものすごくよくなってた。

祟、奈々、小松崎、御名形。
4人の過去編。
そしてそれらが少しずつ関わっていくというもの。

短編だからいつもよりもうんちくとか減るんかなー、とか思ってたけどまったくそんなことなかった。
逆にさくっと読めてちょうどいいくらいの分量だったと思う。

あと思うのは何故か高田崇史のQEDのテーマは大河ドラマとかぶるところがあるよなぁ。
今回は『浅草寺の秋』での山本勘助は存在していたのかしていなかったのか。
また彼は一体何者だったのかという話題。
まさに今年の大河ドラマ『風林火山』の主人公ときたもんだ。

彼が何故片目片足だったのかというところからの推察はおもしろかった。

シリーズもだいぶ長くなってきたところでの連作短編集。
しかも過去編。
ラストへの布石なんだろうか。

目次のページへ戻る

QED 諏訪の神霊

高田崇史
講談社ノベルス
(2008.1/24読了)

「お前もしかして『御頭祭』の意味が分かったって言うのか?」
「ああ、その通りだ」
「ちょっと待て!しかし『御頭祭』といったら、諏訪大社関連では『難易度の一番高い得体の知れない祭礼』--といわれているんだぞ」

『QED 諏訪の神霊』本文より

『QED』15作目。
今回は諏訪の御柱祭がメイン。
そして1200年の歴史を持つ御頭祭の意味とは。

序盤でまず驚かされる。
どうやら今までのシリーズのように神仏へ直結するものではないことが明らかにされる。
神への敬意や怨霊を封じ込めるための神社や祭りといったものとは異質なものであるらしい。

毎度驚かされるけれども、さすがに15作目ともなるとだいたいこのあたりで解決するんだろうな、ということを考えながら読んでいるんだけれども、序盤で「それはない」と断言されて「おいおいどうなるんだ!?」と読み進む。

さらにいつもに加えて警察パートが妙に多い。
かなり密接に今回の御頭祭と非常に関わりのある殺人事件であり、いつもとかなり違うラストを迎えて「えええぇぇっ」となった。

いつものQEDシリーズには違いないんだけれども、すごく新鮮。

古事記に記されている伝説にも関わらず、日本書紀から消された記述の謎とは。

魅力的な謎たちと殺人事件との関係性に加えこれからのシリーズのクライマックスに向けての伏線も張られていることを含めると、この巻はすごく楽しめる内容でした。

目次のページへ戻る

毒草師 QED Another Story

高田崇史
講談社ノベルス
(2008.5/1読了)

何か勘違いされているようですが、恐ろしいのは毒草ではなくて人間です

『毒草師 QED Another Story』本文より

QEDシリーズからスピンオフした『毒草師』ノベルス版。
あの御名方史紋が主人公…ではないんだけれども大きく関わる話。

今回のテーマは伊勢物語。
それと御名方史紋がフィーチャーされているだけに薬と毒は大きく関わってくる話。

祟がいなくても、これはしっかりとQEDシリーズだ(笑

・伊勢物語はなぜ「伊勢」なのか。
・一つ目の鬼の語源とある差別用語が持つ歴史背景について。差別用語としてではなく単語そのものが持つ背景ごと存在を消してしまっていいのか。
・詠み人知らずとは誰が残したのか分からないものではない。

このあたりについてが非常に興味を持って読むことができた。
特に言葉のひとつひとつが持つ意味の成り立ちについては調べていくとそれこそ歴史を紐解いていくようなことになるんだろうな。

伊勢物語と現実に起こった事件が互いにリンクし、いつものように解決した後の展開が今回特にお気に入り。
ええええぇぇえぇ、となった(笑
実際に正倉院の記録が確かだとしたら…怖ぇな。

目次のページへ戻る

試験に出るパズル
千葉千波の事件日記 四月~八月

高田崇史
講談社文庫
(2007.4/26読了)

「いいですか。1+0.1+0.01+0.001+……無限まで、では?」
「え?じゃあ答えは無限」
「なんでそういう無茶苦茶な発想になるんですか!拡散するわけないでしょう。答えは収束します。ちゃんと計算してください」

『試験に出るパズル』本文より

千葉千波の事件日記の1冊目。

この問題には驚嘆した。
すごい!
読むのは3度目のハズなんだけど(笑

小説の中に唐突にクイズがいっぱい出てくるんだけれどもなんの違和感もない本。
クイズを出すために小説があると言っても過言ではないかもしれない。

浪人生のぴいくんと饗庭と高校生の千葉千波くんが次々事件に遭遇したり、ムダに雑談してたりする中で出てくるクイズこそが本編。

そう!
浪人生ってなにかと無駄なことに時間を費やせるんだよなぁ。
そして相当無駄なことを延々と考えれる。
あの時間は素敵な時間だったけどすさまじく無駄な時間だったw(経験談

そんな楽しい毎日っていうのが実に「あーこんな感じだよなー」と経験者が感じるような本である。
実際高田崇史もWebでそんなことを書いていた。

クイズとか頭の体操といったものが好きな人は是非。

主人公の名前が一向に明かされないシリーズでもあるんだけど、よーく考えれば分かります。
それすらもクイズかよっっ(笑

解説は森博嗣。

目次のページへ戻る

試験に敗けない密室
千葉千波の事件日記 夏休み編

高田崇史
講談社ノベルス
(2007.10/31再読)

「柱時計が三時を打つのに三秒かかりました。では九時を打つのに何秒かかるでしょう?」
なんていう問題にも、平気で「九秒」なんて答えちゃう慎之介だ。少し落ち着いて考えれば、分かりそうなもんなのにさ。

『試験に敗けない密室』本文より

図に描いてみたら「なるほど」確かに答えは12秒だな、と思える。
柱時計が鳴ってからから鳴り終わるまでの時間も考えなきゃいけないからね(笑
3時のときも3秒ジャストで鳴り終わるって考えると3時を打ったのは3時より前になるはずで…

そんなクイズやパズルのための事件が散りばめられた高田崇史の『千葉千波の事件日記』シリーズ2冊目を再読。

講談社ノベルス版のあとがきによると講談社ノベルス20周年の密室本企画に出そうとしたのは『QED式の密室』ではなくこっちの方だったとか。

この夏休み編のみ1冊で1つの事件(?)を扱っているんだけども、なぜかパズルがすべてラストに収録していっているのが面白い。
まさにパズルを出して解くためだけに配置された登場人物や舞台が整っているのもこのシリーズの特徴だと思う(笑

そんなパズルのための本なので考えながら読んでいくと1時間や2時間じゃ全然読了できない。
でもその分、パズルが解けたときはものすごく嬉しかったり(笑

あと主人公の「ぴいくん」の本名のヒントが読めるのは多分この2冊目のあとがきだけ(文庫版は読んでないので作者のあとがきがあるのか分からないけど。
「お」ではじまり「お」で終わり、「ぴいくん」というニックネーム。
「お○○○お」。
まぁ普通の名前ではないよな(笑
こういった変わった名前の作中の人物の名前も結構楽しめる本です。

目次のページへ戻る

花に舞 麿の酩酊事件簿

高田崇史
講談社ノベルス
(2007.10/6再読)

「わが観修寺家における婚姻は――
一、見合い厳禁。
二、手助け無用。
三、独力発掘。
四、自力本願。
五、……………………」

『花に舞』本文より

高田崇史の『麿の酩酊事件簿』1冊目。
元々はのだめカンタービレなどが連載されている『Kiss』で掲載されていたコミック。
そのノベライズ。
原作者の高田紫蘭は高田崇史自身であると噂されていたと思うけれども(笑
章イラストの望月玲子はコミック版の作画も担当している。

また、QEDも好調なため『麿の酩酊事件簿』の2冊は講談社文庫版でも出てます。

なんとなく短い話が読みたかったので、これを再読。

86か条にも及ぶ婚姻に関する家訓を持つ観修寺家の跡取り息子(31歳)が活躍する短編集。
素敵な女性に出会うたびに事件に巻き込まれる。
しかし、彼は酔ってお酒に飲まれると途端に名探偵振りを発揮する。
しかも、なぜかその間の記憶はない(笑

QEDシリーズは薀蓄がひとつの魅力でもあるのだが、このシリーズでもそういった雑学的なものは堪能できる。
ピアノにお茶に、カクテルにビリヤード。

どれも事件特有の謎解きがされるのだけれども、その雑学に「へぇー」と驚ける。

新しいことに触れて知識を増やせるような本(笑
一つ一つの話も短いし、手軽に読めるのもいいところ。

「酩酊事件簿」だけに毎回お酒が出てくるわけだけれども、読んでたらいつか頼みたいものばっかり。
作者の高田崇史も相当なお酒好きだけにそういうシーンだけでも十分に楽しめます(笑

目次のページへ戻る

月に酔 麿の酩酊事件簿

高田崇史
講談社ノベルス
(2008.7/8再読)

もしもよろしかったら、ぼくがお手伝いしましょう。そして、今夜、あなたの人生を変えてみませんか?

『月に酔』本文より

麿の酩酊事件簿2冊目を再読。
個人的にノベルス版の装丁の方が好み。

小説版はkissで連載されたマンガ版にさらに2編の話が追加。
いわば完全版のようなものかもしれない。
七海とのその後のようなものも描かれてるしね。

普段は家訓とお坊ちゃん体質のためになかなか女性に縁がうまいことできない文麿。
しかし、彼は酒に酔えば酔うほどに紳士になり、あらゆる謎を解決してしまう紳士に変貌する。

2冊目も短編4つを収録。
うち2つは新作。

QEDでもそうだけれども、このシリーズでも作者の高田崇史の教養の深さに驚かされる。
中国語に陶芸にetc.
どれだけのことに興味を持って普段からさまざまなことに接しているんだろうと思わされる。

あと当然のことながらカクテルに関しての記述は相変わらず恐ろしく詳しいです(笑

目次のページへ戻る

カンナ ―飛鳥の光臨―

高田崇史
講談社ノベルス
(2008.11/14読了)

「しかしそうなると、戦いに敗れた時点で、敗者の歴史は闇に葬られてしまう。たとえそれまでに、どれほど素晴らしい功績を残していようとも、それらの輝かしい業績は、全て勝者に奪い去られてしまうわけです」
「そうだね……丹波の言う通りだ」
「ところがここに、敗れ去ってしまった側が書き残した歴史書、その『蘇我大臣馬子傅暦』が残っていたとしたらどうなりましょう」

『カンナ ―飛鳥の光臨―』本文より

歴史ミステリ『QED』シリーズの高田崇史による新シリーズ『カンナ』。

今までと同じように歴史を扱っているから主人公を変えて歴史の謎を解いていくようなもんなのかなと思っていたが…
ちょっと待て(笑
ええぇぇぇぇ。

歴史ものであり、アクションものだと。
しかも忍だと!?

もちろん忍とくるからにはアクションも結構ある。
でも現代もの。

これはあまりに意表を突かれた。
こう来たのか!?

本編も『本当に聖徳太子は存在したのか』という魅力的な謎。
その謎の暴いていくのも楽しかったが、このシリーズの主人公の神主と巫女、ともに忍の血筋を引き技も引き継いでいるやつらの行く末が非常に楽しみだ。

目次のページへ戻る

カンナ ―天草の神兵―

高田崇史
講談社ノベルス
(2009.1/14読了)

「どうして―?」
「それを私たちは検討するんです」
貴湖は甲斐を見つめた。
「調べるという努力をしましょうね、甲斐さん。歴史は覚えるものではなく、考えるものですから」

『カンナ ―天草の神兵―』本文より

歴史アドベンチャー『カンナ』2作目。
まだ1作目から2ヶ月しか経っていないのに、もう出たのか!?
恐ろしいスピードである。
全9作があっという間に出るんじゃないかとすら思えてくる(笑

カンナ2作目は「天草」が主題。
もちろん天草四郎や切支丹たちによる一揆の謎が紐解かれる。

シリーズ通しての謎ももちろん、むしろその謎は深まったが(笑
「彼」は一体なにをしようとているのか、まださっぱり分からないしなぁ。

やはりQEDシリーズと比べてもおそろしく読みやすい。
さささっと読める上に「なるほど!」と思えることや、逆に歴史に対して懐疑的に見れたり「あれ?それってどういうことだ」と思ったり。

今回の「なぜ天草四郎は長男にも関わらず、「四郎」であるのか」という謎や、一揆はなぜ起こり幕府側は皆殺しにした上で跡形もなく原城を破壊したのかという謎へのアプローチを興味深く読めたかと思う。

まさになるほどなぁ、と頷ける内容でした。

目次のページへ戻る

カンナ ―吉野の暗闘―

高田崇史
講談社ノベルス
(2009.3/7読了)

「日本の神様は、『金気』も『女性』も全く嫌っていませんよ。単なる迷信です」
「じゃあ、どうしてこんな迷信ができたんだろうね?」
「えっ」
その「迷信」がわき上がってきた理由まで、甲斐は考えたことがなかった。

『カンナ ―吉野の暗闘―』本文より

歴史アドベンチャー『カンナ』3巻目。
刊行スピード速ぇぇよ!

3作目の舞台は吉野。

諒司を追う甲斐たちは彼を追って吉野へ。
吉野の地での黄金伝説を巡り、さまざまな歴史が絡み合う。

吉野に桜が多いのはなぜなのか。
山伏の歴史やら、山がなぜ女人禁制とされたのか。

そういった歴史の謎へのアプローチがやはり読みやすいし、分かりやすい。
深く考えなくてもすらすら頭の中に入っていく感じ。
こういう本をもっと中学や高校の時に出会いたかったよなぁ、と思う(笑

それに加えて忍者ものとしてもいい感じに楽しくなってきた。
うわ、もう術とかではじめたよw

さて刊行スピードがとんでもないカンナ。
登場人物にも愛着が沸いてきたし、面白くなってきたと思う。
でもそろそろQEDシリーズが恋しくなってきたかも(笑

目次のページへ戻る

クリスマス緊急指令~きよしこの夜、事件は起こる!~

高田崇史
カバーイラスト:おおの麻里
講談社ノベルス
(2007.11/24読了)

長い人生の中で、ほんの一瞬同じ時間を過ごしただけなのに、どうして思い出はこんなに切ないのだろう。それとも、切ないからこそ思い出なのだろうか。

『クリスマス緊急指令』収録『茜色の風が吹く街で』本文より

QEDシリーズの高田崇史のクリスマス短編集『クリスマス緊急指令』。
「鏡影」は『緊急推理解決院EDS』、それ以外はメフィストに掲載したものを加筆修正。

予想外なほどに面白かったヽ(´ー`)ノ

クリスマスはなぜに切なくなるのだろうか。
過去に想いを馳せるからといえなくはないか。

K's BARにしても怪探偵にしても根本はそういうところで共通点があったように思う。
怪探偵は世代を超えて、親の「好き」ってのを伝えてるとすら思えるもんなぁ(笑

K's BARシリーズの切なさとラスト二編の謎と過去への想いにじーんと来た。

読み終わってからちょっと思った。
この本、12月に出してほしかったかも…。

この本、クリスマスから年末あたりに読むとかなり浸れそうだ(笑

収録話:
・鏡影【緊急推理解決院EDS 歴史推理科】
・クリスマスプレゼントを貴女に~K's BAR STORY~
・思い出は心の中で~K's BAR STORY~
・迷人対怪探偵
・怪探偵退場
・オルゴールの恋唄
・茜色の風が吹く街で

目次のページへ戻る

inserted by FC2 system