感想のページ 作者「西尾維新」
ダブルダウン勘繰郎
西尾維新表紙イラスト:ジョージ朝倉
講談社ノベルス
(2006.7/15再読)
「JDC TRIBUTE」の1冊
清涼院流水のコズミックをはじめとしたJDCシリーズを別の作家が書いてみようという企画の1冊。
JDCの探偵になることを純粋に望み行動している"勘繰郎"。
そしてJDCの探偵になろうと純粋に望み行動したが、今は普通の現実に生きている"むつみ"。
そして二人が出会い、探偵を志す者と探偵を志した者のもとに事件が降りかかってくる。
敵は名探偵を恨む元探偵たち。
信念を持って探偵を殺そうとする奴らを止められるのか。
序盤からすっ飛ばし、ラストまで一気にたどり着かせる実に読みやすい小説だと思う。
面倒な謎解きもないから考えながら読まなくても大丈夫だし。
だけどこういう型破りなものはそれはそれで好きだなぁ。
でもそうならアンチ探偵小説な小説のような気もする(笑
西尾維新のJDCシリーズ2作目の「トリプルプレイ助悪郎」の連載も終了したことだし、そろそろ本にならないんかねぇ
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トリプルプレイ助悪郎
西尾維新表紙イラスト:のがわるこ
講談社ノベルス
(2007.8/11読了)
小説らしきものならば数えることができる。
『トリプルプレイ助悪郎』本文より
小説もどきだってそれなりにあるとは思う。
小説の真似事なら大半を占めているはずだ。
しかし小説そのものとなれば―
―そんなものはない。
上の文章を見た時に「それは大説か!?」と思った人は流水のことが好きすぎだと思う。
清涼院流水のJDCシリーズから飛び出した「JDC TRIBUTE」シリーズ。
西尾維新のJDCシリーズ2冊目。
1冊目は「ダブルダウン勘繰郎」。
亡くなった小説家の遺産である「幻の原稿」。
その原稿を盗もうとする怪人「刑部山茶花」。
舞台は亡くなった大いなる小説家「髑髏畑百足」の「館」。
そこに集う関係者たち。
そして起きる「密室」の事件。
……どうしちゃったんだ西尾維新!?
なにこの本格っぽい雰囲気!?
キャラクターの名前はいかにも西尾維新だけど、内容が本格ミステリっぽいよヽ(゚∀゚)ノ
以下少しネタバレありの感想
……さすがはJDCシリーズ。
そこまですばらしい雰囲気を出しておいてラストがっっ。
そんなところまである種の初期の清涼院流水っぽさを出さなくてもっ。
いくらなんでも完璧すぎることそれ自体トリックとは。
だから不完全な、本格から逸脱したトリックこそが生涯最後のトリックであると!?
でもそんなリスペクトはそれはそれでGOODヽ(´ー`)ノ
西尾維新の本格っぽさは正直なところデビュー作の『クビキリサイクル』以来なような気がした。
こういうのもたまには読みたいデス!
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刀語 第一話 絶刀・鉋
西尾維新表紙イラスト:竹
講談社BOX
(2007.4/7読了)
わたしに惚れていいぞ
『刀語 第一話 絶刀・鉋』本文より
なんじゃその頼み方ぁぁぁぁぁぁ(激しくツッコミ
西尾維新による講談社BOXでの12ヶ月連続刊行第1弾。
「刀語 第一話」。
四季崎記季の打った刀。
それを手にしたものは天下を手にするという。
刀を手に入れるために奇策師と刀を持たない剣士の冒険譚。
西尾維新と竹という戯言のコンビが再び!
見てて安心。
やっぱ西尾維新には竹さんやわ(笑
第一話なので序章。
そして最初の戦い。
これがあと11冊続くのか…
現在4冊出てたハズ。
最初はおもしろかったけど、あとはどうなるんだろう。
清涼院流水が過去に2ヶ月に1冊という「トップラン」シリーズをやってたけど、それ以上のペースで出すんだよなぁ。
おもしろいまま展開していってもらうことを望むのみです。
できれば講談社ノベルスで出して欲しかった。
1段組で250p1000円はやっぱ高いわ…
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ネコソギラジカル 上
十三階段
西尾維新表紙イラスト:竹
講談社ノベルス
(2005.11/15読了)
戯言シリーズ完結編の上巻
戯言遣いのいーちゃんを待ち受ける物語の終わりとは--。
狐面の男"西東天"がいーちゃんに仕掛ける最後の戦い。
彼の元に集まる"十三階段"。
いーちゃんは、玖渚は、哀川潤は果たしてどんな選択をし、どんな結末を迎えるのか。
総勢60人からなる最大にして最大のスケールの物語の最終章。
感想とか
萌えで燃えな内容です。
もう戯言シリーズをここまで読んでたら当然のように読まなきゃならないでしょ。
次々に現れる懐かしくも愛しい登場人物たち。
全員に対して愛着があったりするわけではないけれども、まるで同窓会のような感じがするよなぁ。
ちゃっちゃと中巻下巻も読まないと。
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ネコソギラジカル 中
赤き制裁 vs 橙なる種
西尾維新表紙イラスト:竹
講談社ノベルス
(2005.11/16読了)
戯言シリーズ最終章中巻。
狐面の男西東が連れてきたのは人類の最終存在"想影真心"。
彼女の登場によって殺し屋匂宮出夢が敗れてしまう。
極地に立たされたいーちゃん・死神の石凪萌太と闇雲崩子たちは生き延びることができるのか
感想
最終章の中盤ということでダレルかと思ったけどすらすらどころか高速で読破。
読むのを中断することすら躊躇われました。
もはや終わるための物語としての構造そのものだからこそ、こんな読み方が出来たんだと思う。
登場人物たちは次々にさまざまな形で物語から立ち退いていき、最後の舞台へと残ることを許された者たちのみが物語に居続ける。
……ラストまであと1冊か...
ここまで来ると読み終わることすらもったいないような気がしてしまう。
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ネコソギラジカル 下
青色サヴァンと戯言遣い
西尾維新表紙イラスト:竹
講談社ノベルス
(2005.11/18読了)
世界の終わり。
十三階段の崩壊。
物語の核心に残るのは狐面の男、請負人、橙なる種、そして戯言遣い。
そして…
戯言シリーズ最終巻。
感想
もはや言葉なんぞいらんでしょう。
この幕引きは大好きだ。
色々と議論がなされているようですがいーちゃんが語ってきた物語たちに対して肯定派です。
あくまでいーちゃんの周りで起こった事件を語っているわけなので。
だから明かされていない事柄に関してはいーちゃんの口から語られるべきものではなく、別の人間から語られるものなんでしょう。
それにいーちゃんが語り部でなければそれはすでに戯言シリーズとは言いがたいものになってしまうし。
だから戯言シリーズの幕引きはこれでいいんだと思う。
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ザレゴトディクショナル 戯言シリーズ用語辞典
西尾維新表紙イラスト:竹
講談社ノベルス
(2006.6/11読了)
戯言シリーズの用語辞典。
『クビキリサイクル』から『ネコソギラジカル』までの9冊に関する蛇足がいっぱい。
裏設定だったり、生み出されたキャラへの愛だったり、自らのツッコミだったり。
まぁ色々。
戯言シリーズ読んでないと多分なんのこっちゃ分からない本です。
『メイド』の項がやけに多いような気がするのはご愛嬌かw
1作目で三つ子メイドが出なかったら後々いーちゃんはメイドマニアと呼ばれることもなく、このメイドの項などなかったに違いないw
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零崎軋識の人間ノック
西尾維新表紙イラスト:竹
講談社ノベルス
(2006.11/13読了)
あんたも好きにすりゃいいんじゃねえの? 連戦連敗、全戦全敗でも、失敗しなきゃ案外格好いいもんだぜ
『零崎軋識の人間ノック』本文より
ファウストに連載された「零崎軋識の人間ノック」の単行本化されたもの。
架空のトレーディングカードゲームのカード入り。
どんな初回限定版やねん(笑
零崎一賊シリーズ第2弾。
第3弾も春からメフィストで連載開始らしい。
内容はいーちゃんのいない超人のごとき人々(笑)たちの間で繰り広げられるそのキャラごとの生き様をまっすぐ貫いた闘いが描かれてる。
いつもの、といっちゃあいつものなんだけど。
それでもいままで主役だったはずのいーちゃんがいない分、えらくシリーズに出ていたキャラたちがものすごく自己主張をしてる(笑
(まぁ戯言シリーズはいーちゃんが語り部なわけだしなぁ
双識はやっぱり変態さんだなぁ。
そして人類最強の請負人はこういうところに限ってものすごくカッコいいことを言ってくれるねぇ(笑
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零崎曲識の人間人間
西尾維新表紙イラスト:竹
講談社ノベルス
(2008.3/12読了)
「そう――せめて人間らしく、笑って死ね」
『零崎曲識の人間人間』本文より
人殺しの鬼――殺人鬼。
殺人鬼集団、零崎一賊。
どれほど仲間内で浮いていようと――零崎曲識がその一員であることを、そして中でも群を抜いて禍々しき殺人鬼であることを、決して忘れてはならない。
メフィストで連載された『零崎曲識の人間人間』。
ついに零崎シリーズも3作目。
今回は音使いの零崎曲識の話。
今までの人よりも真人間っぽいけど、それでもやっぱり零崎な奴だった(笑
いつものように零崎らしく楽しく命をかけながらの死闘が描かれてたり、他の零崎の人たちが出てくるまるで同窓会のような話があったりする短編が4つ入ってます。
その中でも零崎シリーズ1作目の後日談の人識くんと伊織の話にハァハァ(笑
なにあの仲睦まじさ(笑
いやいや、ホント同窓会といっても過言じゃなかった。
いろんなキャラたちが零崎曲識とほんの少しの間すれ違うだけなのだが、なんか随分と懐かしさを感じてしまう。
あぁこいつらまだやっぱり元気じゃねーか、と(笑
格闘モノとしても、キャラクター同士の絡みもよかったけれども、それでもやっぱりゲストキャラクターたちの再登場がなんか読んでて嬉しくなった(笑
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新本格魔法少女りすか 3
西尾維新表紙イラスト:西村キヌ
講談社ノベルス
(2007.3/27読了)
今のキズタカは ― 自分だけ幸せになろうとしている。そんなキズタカは ― わたしは、許さない。わたしは、キズタカを、許さない!
『新本格魔法少女りすか 3』本文より
新本格魔法少女りすかの3巻。
ファウストVol.6まで連載された分を収録。
ありゃ。
書き下ろしは?(汗
講談社ボックスの方でいっぱいいっぱいなんかもな…。
ラストも近いようで。
もう登場人物はほぼ出尽くした。
残るは…という状態。
グロさはいつも以上(笑
それだけの試練がキズタカとりすかの前に立ちはばかる。
決して後退しない、できない状況。
ひたすら勝ち進まなければいけない現状。
一つの失敗が全滅、そして死を招く惨状。
さぁ、ついにラストだっっ、というところで終わり。
Σ(゚д゚lll)
次が最終巻ということらしいですが、いつになるのか。
講談社BOXでの1年連続刊行が終わってから…だろうなぁ。
西尾維新でここまでの燃え展開が見られるとはちょっと意外。
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きみとぼくの壊れた世界
HOW is your word crazy?
西尾維新イラスト:TAGRO
講談社ノベルス
(2007.10/11再読)
「犯人はメイドのゲートベルだった」
『きみとぼくの壊れた世界』本文より
「ひ、酷いっ! 楽しみにしてたのにっ! お兄ちゃん、夜月、お兄ちゃんにそんな意地悪されるようなこと、何もしてないよ!?」
「嘘だよっと」
西尾維新の「世界」シリーズ1作目『きみとぼくの壊れた世界』。
単行本が出るということと続編が出るということで再読。
ブラコン妹とシスコン兄による(*´Д`)ハァハァ 会話を楽しめます。
その昔、主人公と妹の会話に激しく萌えた記憶があった。
それから4年。
やっぱり兄と妹の会話は非常によかった(笑
殺人事件や小説を通して、自分は果たして一体なんであるのかを語った小説だと思う。
小説とは、ミステリとは一体何か。
小説と現実の境目は。
現実と非現実の境目とは何か。
そんな今生きている世界と小説の世界を語りながら、自分はどこか壊れてるんじゃないか勘ぐるような内容とでも言えばいいんだろうか。
自分を探るという意味でのミステリであるとは思う。
だけれども、キャラたちの会話を楽しみすぎて、実質的にこの本で一体なにが言いたいのかにどうもしっかりたどり着けたとは言いがたいかも(汗
自分自身を理解するってことなんかなぁ。
テーマは。
なんとなく世界観は思い出せたので4年ぶりのこのシリーズの新刊『不気味で素朴な囲われた世界』読み始めました。
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不気味で素朴な囲われた世界
The world is enclosed.
西尾維新イラスト:TAGRO
講談社ノベルス
(2007.10/11読了)
つまりは、平和な日常に疑問を抱いているということですよ。こうも何もかもが当たり前過ぎると、逆に不安になってきます。だから―
『不気味で素朴な囲われた世界』本文より
西尾維新の「世界」シリーズ2作目『不気味で素朴な囲われた世界』。
イラストは前作と同じサルガッ荘などのTAGRO。
世界観は一緒だけど、登場人物はほぼ変更。
今度は中学生の話。
前作は「壊れた」と自らを認識する人たちの話だった。
今回は平和でいつもどおりの日常に疑問を持つ人の話。
まぁ一応事件は起こる。
そしてそれを解決に導こうとするのだけれども。
事件が起こる前も後も常に「なにか起こらないか」と期待する主人公の弔士くん。
常に何かを起こそうと行動を起こすのだが、なかなか何も起こらない。
だが、そこで殺人事件が起こる。
自分と自分の周りだけで完結した世界であるように描かれる世界観や、自らをまるで「ミステリ」のような世界の中に生きているように見せられる不思議な小説だった。
ちょっと以下ネタバレあり
「不気味で素朴な囲われた世界」とはなんだったんだろう。
それこそが弔士くんの望んだ世界なのか。
騒がしくも決して平和ではない世界だった前半部分。
自分の世界を内へ内へと自ら追いやっていたよな…
ジャマな姉からベッドの上段をもらい、やっかいな人と距離を置けるようになったラスト。
それで満足する。
外への興味は持たず、自分の周りの世界だけで納得して完結する。
でも"何か"が起こって欲しいと願う。
なんて相反する理屈だろう。
でもこんな考えを持っている人って多くないだろうかとも思えるんだよな…
1回軽く序盤を読み返してみたら、この本で描かれてることって最初から一貫してたことにびっくりした(笑
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きみとぼくが壊した世界
西尾維新イラスト:TAGRO
講談社ノベルス
(2008.8/18読了)
「知名度って聞くと、なんだかエッチなメイドさんみたいでどきどきしますね」
『きみとぼくが壊した世界』本文より
「前々から思っていたけれど、きみは中学生にしては趣味がマニアックだね。この国はメイドが割と一般的だから、日本の幻想的な感覚でそれを捉えないほうがいいと、忠告だけはしておこう。」
こんなどうでもいい会話がこのシリーズでもっとも好きな部分だと思った。
西尾維新の『きみとぼくが壊した世界』。
たぶん病院坂黒猫さんが主人公。
……たぶん。
なんと言っても一人称の黒猫さんがよかった。
なんせほとんど会話のみで成り立っているような内容。
しかもいつもの面子でのどうでもいい会話が繰り広げられる。
ゆえに面白い。
シリーズの前2冊を読んでいる人で、3冊目にも手を出した人にとってはそれで十分だろう(笑
今回はロンドン巡りということもあり、異文化に触れ合うというシチュエーションが多数用意されている。
こいつら海外に行ってもなんも変わらないな(笑
「のろいの小説」を読んだ人は死ぬ。
その謎を解くためにはるばる海外へ、という内容だったわけだけど(正確には違うというのかもしれないが一応)もー、まったくもって謎部分はどうでもいいな(笑
まるで謎は今回の話において「オマケ」のような(笑
謎よりも物語の構成のおもしろさに目が行き過ぎていたからそう思ってしまったのかもしれないけど。
それより登場人物が作中内で語る「作者」と「読者」に関する論は読んでいていろいろ思い当たるフシもあって非常に興味深く読めた。
まぁなんだ。
この本に関して何か一つ言うのなら、くろね子さんのリアクションが非常に楽しかったです ヽ(゚∀゚)ノ
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不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界
西尾維新イラスト:TAGRO
講談社ノベルス
(2008.12/11読了)
自分がないからこその孤独であり、自分がないからこその孤立であり、自分がないからこその孤高である。
『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』本文より
世界シリーズ4作目。
時系列でいうと2作目のあとの話。
串中弔士と病院坂迷路が主役の4作目。
彼ら教師が女子高の中で起こる連続殺人事件に挑む。
いつもの世界シリーズというか、ある意味実に変人的な人たちが語っているから妙な事件に思えてくるのか。
とにかく事件や周りの実に囲われた小さな世界に対して、思考が内へ内へむいていき、逆にカオスを呼んでいるような…
なんとも言葉にしづらい内容となっておりますが、それでもやっぱり西尾維新っていう語り口なのは確か。
ってかこれ一応一つの話として完結してはいるけれども、ここから読み始めた場合って楽しめる内容なのだろうかとちょっと不安になる。
いやもうだって世界シリーズを読んでいないとまったくさっぱり分からない単語の数々がこれでもかと出てくるわけだし(笑
逆にシリーズ読んでれば問題なく楽しく読める。
まぁシリーズ読み続けている人こそが読むべき本なんじゃないかなと思います。
世界シリーズも残り1冊。
最後まで着いていきますぜw
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DEATH NOTE
アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件
西尾維新集英社
(2006.8/4読了)
西尾維新による「デスノート」のノベライズ。
主人公は南空ナオミ。
あと"L"。
さて、デスノートのノベライズ。
まぁぶっちゃけ「おもしろい」。
装丁のこだわり具合もそれはそれですごいんだけど、キャラクターたちにも違和感ないし、竜崎の奇妙さも文章にするとこうなるんだと思えたり。
謎自体も不可解極まりない上に解決編もなんというか…言葉遊びの極致だなと思えるような。
デスノートだけれどもこれはやっぱり西尾維新じゃないと書けないっていう内容だった。
この本はカバーを外して読むべきですな(笑
装丁が見事。
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xxxHOLiC
アナザーホリック ランドルト環エアロゾル
西尾維新講談社
(2006.8/4読了)
CLAMP原作の「xxxHOLiC」を西尾維新がノベライズ。
表紙からして金箔です。
スピンにも「xxxHOLiC」の文字が。
各章ごとにイラストがあり、これはもう本家本元のCLAMPによるもの。
豪華です。
四六版ハードカバーよりさらにデカいです。
A5版です。
内容はというと基本的に四月一日のみの話。
それに少し侑子さんも関わってくる。
全3話。
1話は「してはいけないと思いつつもしてしまう」人の話。
2話は「死んだ彼氏から毎日同じ時刻にメールがくる」話。
3話目は完結編らしい話です。
CLAMPも好き。
西尾維新も好き。
xxxHOLiCは当然読んでるし、アニメも見てる。
西尾維新も一部の短編以外はほぼ読んでるはず。
で、実際このコラボはどうだったんだろう。
戯言シリーズのように一気に読めるタイプである。
xxxHOLiCの特色のひとつであるすべてのことは必然である、というテーマはしっかりとある。
ホラーのような要素もしっかりある。
ぶっちゃけHOLiCは読んでなくても楽しめる。
西尾維新ファンにとっては楽しめるかと。
じゃあCLAMPファンにとってはどうなんだろう。
面白いよ。
確かに。
これもHOLiCの世界だとは思う。
あの世界観と物語を楽しんでいる人にとっては楽しく読めると思う。
けれども、キャラクターたちの絡みを楽しみに読んでいる人はやめておいたほうがよいかと。
つまりは
四月一日と百目鬼の絡みなんてないし、ひまわりちゃんを前にして踊る四月一日も見られない。
モコナの毒…というかモコナも出てなかったな…
というところが残念。
けれど1冊に収めるのには必要じゃないしなぁ。
なんせタイトルの「ランドルト還エアロゾル」からはかけ離れてしまうわけだし。
「ランドルト還」……いわゆる視力検査の「C」のこと。
「エアロゾル」……気体中に液体または固体の微粒子が分散しているもの
単語を見ても内容とはさっぱり結びつかないな(笑
読後だとなるほど、と思えるところがあるんだけど。
よくまぁこんなタイトル思いついたもんだ。
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ニンギョウがニンギョウ
西尾維新講談社ノベルス
(2005.9/11読了)
17番目の妹が死んだ。
だから映画を見なければいけない。
人生4度目の。
たどりつく映画館でロープを手渡され、足を吊って映画を見るという手法の映画館だった。
メフィストに掲載された短編3本+書き下ろし1本。
西尾維新初のイラストなしの本。
豪華箱入り。
1500円。
紙質もこだわっており、何十年も前に出版された本のような触感。
触るのも少しためらわれるw
物語は4つ。
一つ一つは完結しているが、それぞれのタイトルは物語の中の映画のタイトル。
そしてそのタイトルは次の物語へ次の映画へ引き継がれる。
なんだろうな。
この本は。
すべて名も語らぬ主人公という一家の「兄」から語られる一人称で進み、
各物語ごとに23人いるうちの数名の妹が出てき、
すべての物語には熊の少女がでてくる。
語り口からは大正時代、もしくは昭和初期の雰囲気が感じ取れるが、
様々な現代的な機器も出てくることから少なくとも現在に近いように思える。
しかし、足が腐りおち、それは足が妊娠しているという設定や逆さに見える映画館、死んでは戻ってくる妹。
少なくとも現代そのままではなく、これは幻想小説というジャンルなのか。
もしくはドグラ・マグラのような狂人から見た世界を映した小説なのか。
なら、23人の妹などは一体なにを表したものなのか、などを考えるとさっぱり分からなくなる。
深~く読みこんでいけば分かってくるのかもしれない。
と言いつつ実は西尾維新の本の中でもっとも好きかもしれない。
雰囲気とかが特に。