感想のページ 作者「も」
ウェブ日記レプリカの使途
I Say Essay Everyday
森博嗣幻冬舎文庫
(2006.9/3読了)
森博嗣の2000年の日記を本にしたもの。
ウェブ日記シリーズ4冊目。
内容はやおいです(笑
山なしオチなし意味なし。
特に山場があるわけでもなし、驚天動地のラストも待っていませんw
普段なにを感じたか、どんなものを読んだり見たりしているのか。
そんなことが淡々と。
でも作家「森博嗣」を知りたいという人には十分楽しめる内容かと。
読んでて少しだけ共感したり、いくつかの本や映画にも興味を持てたことも事実。
まさかこのあとシリーズが終了して、再び「MORILOG ACADEMY」となって帰ってくるとは思わなかった(笑
人気あるんだろうなぁ
この本読んでて「ホの字」とか「首ったけ」なんて言葉が死語になっていると書かれていて驚愕した。
なんてこった。まだまだ現役の言葉とばかり。
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議論の余地しかない
A Space under Discussion
森博嗣講談社文庫
(2008.10/17読了)
大人になるにしたがって、僕はいろいろなものを交換した。
『議論の余地しかない』本文より
僕が欲しいものと、僕の時間を。
僕が欲しいものと、僕の気持ちを。
フォト&エッセイ集。
エッセイというより、森博嗣の著作からの引用文。
それを森博嗣の撮影した写真で構成した本。
講談社文庫版の解説は糸井重里。
写真のイメージと引用文。
それらが組み合わさり…ということもない。
いや、あるのだろうけど、あんまり考えたくない。
あるのだろうけれども、考えたら深みにはまりそうなのだ(笑
被写体も非常に独特。
しっかり意図があって撮られているし、なにより確実に撮っている方は楽しそうだ。
どう写るのか。
どうしたら意図したとおりに写せるのかということを考えながら撮っているなぁ、と思えてくるのだ。
写真を見ているだけでも森博嗣の考え方が見えてきそうで面白い。
そんな写真に著作の引用文。
それにタイトルをつけ、デザイナーが写真と文字を配置していく。
それもすごく楽しそう。
写真であったものにさらに色んな要素が混ざり合い、「写真」や「引用文」から「エッセイ」へと変貌していく。
そんな様を楽しみながら読めました。
森博嗣の著作の中でも独特で濃い本だと思います(笑
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君の夢 僕の思考
you will dream while I think
森博嗣講談社文庫
(2009.5/16読了)
孤独という自由を、人は恐れ、
『君の夢 僕の思考』収録『逃走』本文より
その価値を評価しないよう、
真の意志の存在を忘れるよう、人は努力する
フォト&エッセイ集。
『議論の余地しかない』と同じシリーズ。
本としての作り方の極致を見た気がする。
詩のようでありながら、森博嗣の著作からの引用。
さらにそのイメージに合わせた写真と文字とタイトル。
ページを捲るごとに充実感が得られるかのよう。
孤独であり自由でありやさしい。
あぁ。
そうか。
やはり森博嗣の描くこの詩のような世界が好きなのだと再認識した。
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100人の森博嗣
100 MORI Hiroshies
森博嗣メディアファクトリー
(2005.11/23読了)
内容
Vシリーズの後書き集
作品解説集
いろんなところに掲載されたエッセイ集
デビュー前に編集者の宇山さんや唐木さんにあてたメール
etc
小説から読み取る作者じゃなくて、一人の人間としての森博嗣の言葉がいっぱいです。
日記シリーズとか浮遊研究室もそうだけどよくまぁ小説じゃないシリーズが出るよなぁ。
ただ森博嗣の考え方とかに共感できたり、ふと気づかされるものがおおかったり…ありていに言えば"おもしろい"から買うんだろうな。
このシリーズは次はGシリーズ完結後に出るんだろうか。
そうだとしたらだいぶ先だよなぁ。
(それまでに森博嗣の著作は一体どれだけ増えてるんだろう
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工作少年の日々
Under Construction Forever
森博嗣集英社文庫
小説すばる連載
(2008.2/9読了)
自己完結することが趣味の醍醐味だと書いた。しかし、同時に、完結しそうにない予感こそ、ときに人が生きていく糧になるものだ。
『工作少年の日々』本文より
森博嗣のエッセイ『工作少年の日々』。
ものづくりに対する姿勢、特に森博嗣の趣味の範囲である工作について書かれたエッセイ。
工作だけに関わらず、好きなものに対しての取り組み方や考え方って言ったほうがいいかもしれない。
それはこのエッセイに関わらずMLAでも過去の日記シリーズでも一貫して書かれていると思う。
ここまで長い間自分自身の意見っていうのがブレていないように思えるのもすごいことだ。
特にものを作るにあたって楽しみながら作る、また趣味に没頭して楽しむ。
それが好きならばそれでいいじゃないか。
周りは周り、自分は自分の好きなことをしたらいいという考え方には特に共感。
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STAR EGG 星の玉子さま
森博嗣文藝春秋
(2008.5/26読了)
人が一人だけしかいない星では、その人が何をするのか、
『STAR EGG 星の玉子さま』本文より
ということで、その星の雰囲気が決まります。
森博嗣による『STAR EGG』。
絵も森博嗣。
お世話になった方々から図書カードをプレゼントにもらったので、それを使って自分のためだけのプレゼントに買ってきた。
もちろん文庫版じゃなくて単行本の方で。
絵本なんだから、もっとも綺麗な状態で残る形の本で読みたかったので(笑
この絵本の中には「孤独」と「夢」が詰まっていた。
いろんな星に住んでいる人たちを主人公の玉子さまが訪れる話。
一つ一つの星が独特の雰囲気を持っていて、星の個性を出している。
一つとして同じものはない。
けれども個人個人はとても孤独。
でも孤独を孤独と思うそのこと自体に優しさを感じた。
他の人がいてはじめて自分を寂しい=孤独と感じる。
なるほど。
そう思ったら孤独っていうのは決して孤独ではないじゃないか。
他の人=星があるのならば、そこを目指せばいい。
またもう一つのテーマとして「夢」があった。
その夢のために自分の世界を創っていく。
「なぜ」「どうすれば」という好奇心をもって没頭する。
そうして夢を作り出していく。
それって素敵なことだよなぁ。
読んでいて孤独という概念が覆されたかも。
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猫の建築家
A Cat of Architect
作:森博嗣画:佐久間真人
光文社文庫
(2006.12/10読了)
理由もなく存在するものが、もしかして、あるのだろうか。
『猫の建築家』本文より
もしかして、それが「美」だろうか
森博嗣と佐久間真人による絵本の文庫版。
絵本も文庫になるんだな…。
建築家の猫による「美」の追求。
人なんて誰も出てこない。
出てくるのは猫たちと風景のみ。
主人公の猫はひたすらに見えない触れない「美」を探す。
どこにあるのか、なにが「美」なのか。
目に見えたあらゆるものに触れながら「どうしてそう在るのか?」という疑問を持ちながら歩き続ける。
なんて猫らしくない(笑
けれども、急ぎ足で歩き続けて、周りの風景をなんとなくしか認識しない人間よりもずっと思慮深いよなぁ。
絵本だけれども、大人向け。
そして英語に翻訳された文も載っているのでグローバルな絵本でもあります。
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魔的
Magical Words behind Me
森博嗣中公文庫
(2007.2/27読了)
ごらん
『魔笛』収録『人の形』本文より
この中途半端な形を
森博嗣の詩集「魔的」文庫版。
ミステリにSFに、写真集に日記に絵本にそして詩集。
いったいどこまで色んなものを出すんだよっ(笑
それでも手を出してしまうのはファンだからか、それとも森博嗣という作家の存在に囚われているのだろうか。
内容は、森博嗣の言葉に酔いしれることができる人には満足できる内容だと思う。
不安定で不確定な存在である人間。
人間は思考し行動し、やがて死に至る。
その生の過程に生じる思考を森博嗣の私的に詩的に散文化して描かれている。
やっぱ心地いいものだ、この森博嗣の創る言葉の羅列が。
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森博嗣の道具箱
The Spirits of Tools
森博嗣中公文庫
日経パソコン連載
(2008.8/19読了)
技術者つまりエンジニアとは何者かというと、理由を考え発想を持つ科学者ではなく、目の前にある問題を解決する人のことだ。
『森博嗣の道具箱』本文より
森博嗣が日経パソコンで連載した『森博嗣の道具箱』。
文庫版の解説は平岡幸三。
森博嗣が「道具」というテーマで書くエッセイ。
道具とは、道具を使うとはどういうことか。
工作少年としての思い出や、エンジニアとしての目線からみたものづくりなどなど。
とにかくものを作ることに対する楽しさというものが、どんなであったか思い出させてくれる。
なんて楽しそうにものをつくる人なんだこの人は(笑
それでいて多彩な語感を文章の中にいれてくるんだから、面白くないわけがない。
blogやWeb日記を読んでいても楽しそうだとは思っていたけれども、こうして道具や工作を主題においた本だと森博嗣の本領を見れた気がする。
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悠々おもちゃライフ
The Leisurely Life with Toys and models
森博嗣講談社文庫
ラピタ連載
(2007.7/17読了)
趣味には理解者が必要だが、理解者に振り回されてはいけない。なぜなら趣味は、あくまでも個人的で我儘なものだからだ。
『悠々おもちゃライフ』裏表紙より
森博嗣がラピタで連載した『悠々おもちゃライフ』に単行本未収録の3本を収録した完全版。
フルカラー。
まぁ少なくとも小説というジャンルの本ではない。
機関車、車、ぬいぐるみに飛行機。
多種多様な趣味をもつ森博嗣が仕事としておもちゃを語った本。
語ったというのもヘンだな。
森博嗣が思うところの趣味とは何であるかを幼少期から大人に至るまでに体験したことを交えて"こう考える"ということが書かれている。
森博嗣のファンであるのなら、少なくともMORI LOG ACADEMYあたりを読んで問題なく読めたら読んでみるといいんじゃないだろうか。
内容が趣味の話であるだけにミステリ好きの人を意識して書かれたものではないから。
対象とされている読者はラピタを含め、趣味を満喫する人。
またはいわゆる「いい大人」という年齢になってからでも未だに機関車や飛行機といった趣味を謳歌できる人。
なのでそこらへんでひく人は読まない方が賢明かも(笑
大丈夫な人とか、MORI LOG ACADEMYのファンとか森博嗣の思考に興味がある人にはオススメ。
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悪戯王子と猫の物語
Fables of Captain Trouble and Cat
森博嗣 & ささきすばる講談社文庫
(2006.3/18読了)
すっと内面に入ってくるような感じがする文字たちが綴る20の物語を収録した絵本。
森博嗣とささきすばるによる絵本。
もはや絵本というよりすごいシャープなイラストと文字による映像美のようなものを感じた...
『連続ドラマ』や『かぶり』『練習』と言った人生を別のなにかを使って表現したような話が好きかな。
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人間は考えるFになる
土屋賢二森博嗣
講談社文庫
(2007.3/18読了)
「見かけと実際は違う。たとえばわたしは見かけは貧弱だが、内面は自分で言うのも何だが……」
『人間は考えるFになる』収録の『消えたボールペンの謎』本文より
「えっ もっと貧弱なんですか?」
森博嗣と土屋賢二の対談本「人間は考えるFになる」。
表紙イラストはコジマケン。
巻末に森博嗣の小説「そこに論点があるか、あるいは何もないか」と土屋賢二の小説「消えたボールペンの謎」が収録。
文庫では二人のあとがきも収録されています。
さて、この二人。
どっちも大学で教鞭をとりつつ研究を重ね、かつ本を出している人です。
森博嗣はミステリィなど、土屋賢二はエッセイで有名。
大学という場所はヘンな人間が集まるものだと思ってるけど、この二人は色んな意味で突出してるよなぁ。
森博嗣の日記などでは森博嗣の思考はよく知ることができるけれども、この対談だとお互いに話しているわけだからやりとりをする。
そしてそのやりとりがものすごく面白い。
会話ってこんなに楽しいもんなのか(笑
巻末におふたりの小説が載っているわけだけれども、これもまた対談の延長にある話でまた楽しめる。
特に土屋賢二の小説はおもしろい。
なんだろう。
あのネガティブさはクセになる(笑
対談本だから内容に期待はしてないでとりあえず森博嗣だから買ったってだけだったけど、それ以上の楽しさをこの本から貰えた気がする。
森博嗣の小説だけじゃなくモリログアカデミィなどでさえも楽しめる人向け。