感想のページ 作者「スティーブン・キング」

ダーク・タワー Ⅰ ガンスリンガー
THE DARK TOWER 1 The Gunslinger

スティーブン・キング Stephen King
訳:風間賢二
新潮文庫
(2008.8/5読了)

<十九>が秘密を開示するだろう。
<十九>こそが秘密だった。

『ダーク・タワー1 ガンスリンガー』本文より

スティーブン・キングのライフワークでもあった『ダーク・タワー』1巻『ガンスリンガー』。
約30年にわたって書き続けられた壮大なファンタジーの1巻目。

最後のガンスリンガーであるローランド。
彼はこの世ともあの世ともつかぬ場所で黒衣の男を追い続けていた。

彼を追うとつきまとう「暗黒の塔」と「19」という数字。
そして幾多の死と悪夢のような状況がローランドの前に現れる。

壮大なプロローグの巻だな。
それどころか、本編にしかまだ入っていないような気すらするぞ…

謎ばかりの提示。
そして世界観もこの巻だけではさっぱり分からない。
でも少なくとも言えることは、読破してみたい本であるということ。

スティーブン・キングの描く非日常的な世界でいくつもの謎がある。
そして超大長編であときたらもはや読むしかあるまい(笑

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ダーク・タワー Ⅱ 運命の三人 上
THE DARK TOWER 2 The Drawing of the Three

スティーブン・キング Stephen King
訳:風間賢二
新潮文庫
(2009.4/9読了)

「<カ>」ガンスリンガーはそっけなく答えて、ドアに向き直った。そしてノブに手を伸ばした。だが、心の内では固唾をのんで待機していた。この先に待ち受けるは生か死か。

『ダーク・タワー Ⅱ 上』本文より

『ダーク・タワー』第2部。

暗黒の塔を目指す最後のガンスリンガーのローランド。
彼が前巻にて黒衣の男の言う浜辺へと辿りつき「ドア」を見つける。

そこで彼は見たものは…、ってえええええ。

おいおい、どういうことだよ。
今までの異世界、それもどこか現代の名残が見えていた不思議な世界観が一気にぶっ壊れた。
それどころか混沌としてきた。

この世界観はどういうことなのか。
様々な時空が入り乱れているとも思える。
1巻目でのジェイクも「世界は複数存在する」ようなことを言ってたしなぁ。
…でも、これらの世界のズレのようなものはいつか一つにまとまりそうなところが怖いところだ。

またローランドの旅の道連れとなる人物達も一筋縄では行きそうにないエピソードの持ち主ってのも面白いところだし、なによりローランド自身が謎に満ちすぎている。
彼はなぜ暗黒の塔を目指すのか。
そこにあるのは自ら「死」であると考えてなお行くのは何故か。
なにがあるのか。
なぜ仲間を必要としたのか。
「カ」とはなんなのか。

どんだけ謎を増やしていく気だよ(笑

「The Prisoner(囚われ人)」を仲間にし、次は「影の女」。
これから一体何を見せてくれるのか楽しみだ。

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ダーク・タワー Ⅱ 運命の三人 下
THE DARK TOWER 2 The Drawing of the Three

スティーブン・キング Stephen King
訳:風間賢二
新潮文庫
(2009.4/13読了)

「人はみな死ぬ」とガンスリンガー。「変転するのは世界だけではない」かれはエディをまともに見すえた。その色あせた青い目は、暗がりではほとんど青灰色に見えた。「だが、おれたちは栄光に輝くのだ」

『ダーク・タワー Ⅱ 下』本文より

スティーブン・キング『ダーク・タワー』第2部下巻。
解説は恩田陸。

3人の仲間が集う。
だが、そこにはいくつもの障害があった。

最初は西部劇的ファンタジーだったと思う。
しかし第2部に入り現代/ローランドの世界という2つの世界が登場し、エディよりも昔の時間を生きるデッタ&オデッタという人格を持つ少女も現れた。
さらには時間や空間の移動というものや、タイムパラドックスも起こり始め物語はファンタジーに加えSFや歴史ものという要素、またもちろんキングならではのホラーも健在。

そんな恐ろしくすべてが混ざり混沌となる中ひたすらに突き進んでいく。

とにもかくにもこれで運命の3人が揃った。
さて、ここからどうなるか。
少なくとも単純な旅になることはないだろう。
なんせ誰もがなにかにとり付かれている言っても過言じゃないやつらばっかしだしな。

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ダーク・タワー Ⅲ 荒地 上
THE DARK TOWER 3 The Waste Lands

スティーブン・キング Stephen King
訳:風間賢二
新潮文庫
(2009.4/23読了)

ジェイクは、ふらふらとよろめきながら立ち上がる。ぼくは、あの人に会える? ガンスリンガーを見つけることになるの?

『ダーク・タワー Ⅲ 上』本文より

『ダーク・タワー』第3部。
上巻を読んでから表紙を見るとゾクッとするな。

前部で運命の3人が揃い、3部からさぁこれから本当の「暗黒の塔」探しの旅が始まるという内容。

過去と未来と、別の世界とも思える場所と。
様々な次元を渡りながら暗黒の塔探しは続く。

そして次なる重要な登場人物である少年「ジェイク」が再び登場する。

おいおいおい!?
ジェイクだと。
しかも過去の、いや別次元の記憶を保有しているだと!?
どういうことだ…

しかもジェイクを「こちら側」に引きこむ際のエディの根拠のない「力」のことといい、まるで運命の3人は何かを成すために集められたよう。
本人達の意思は関係なく。

じゃあ一体何がローランドたちを塔へ導くのか。
そしてローランドたちを阻む試練は何のために存在しているのか。

謎は深まるばかり。
だがもうここまで読んでしまうと途中下車はもはや不可能と思えてきた(笑
あとはこのトップギアまで入った物語から振り落とされないように気をつけるだけかな。

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ダーク・タワー Ⅲ 荒地 下
THE DARK TOWER 3 The Waste Lands

スティーブン・キング Stephen King
訳:風間賢二
新潮文庫
(2009.5/12読了)

「おまえたちはだれだ?」声が轟いた。眼前のボックスからではなく、市内で機能しているスピーカーすべてから流れてくる。スピーカー塔からぶら下がる腐乱死体が耳を聾せんばかりの声にびりびりと震えた。まるで死人でさえも、できることならブレインから逃げ出したいとでもいうように。

『ダーク・タワー Ⅲ 下』本文より

『ダーク・タワー』第3部これにて完結。
解説は栗本薫。

上巻でのchoochooTrainのチャーリーの話から、まさかこのような重く死を司るかのような知能を持つ列車「ブレイン」が登場するとは。
なんだこの圧倒的な存在感。
おぞましいという表現はこのためにあると言っても過言じゃない。

ジェイクと言葉を解する小動物のオイを加えた「カ・テット」がさらなる過酷な道へと乗り出していく。
目指すは暗黒の塔。
そして塔に至るために都市へ向かうわけだが。

もうなにこのイヤな予感と次々に張られる魔導師ファニンの謎とローランドの過去やジェイクが狙われる真の理由などの伏線は。
2部の時点でもなんだこの伏線のすさまじさはと思ったものだが、3部でさらに風呂敷が大きく広げられた感じがする。

とにもかくにも音速のブレインのごときスピードで駆け抜ける物語についていくのがやっと。
死ぬほど陰気だし、重いし、おどろおどろしいし、希望はかけらしかないし、読んでいて喉が渇くような緊迫したストーリーにも関わらず次が読みたいと思わされるのはやっぱ作者の力量ってやつだろう。

それにしてもこの3部までにもだいぶページを費やされたはずなのだが、まだこれで3分の1かと思うと…
先が長いのは楽しいんだが、読み終えるのにもまだまだ時間がかかりそうだな。

それにしてもオイの挙動がかわいくてしかたない(笑

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ドリームキャッチャー1
Dreamcatcher VOl.1

スティーブン・キング Stephen King
訳:白石朗
新潮文庫
(2008.11/10読了)

「現在この地域は、一時的隔離措置下にある!くりかえす、現在この地域は、一時的隔離措置下にある!この地域から外に出てはならない!」

『ドリームキャッチャー1』本文より

スティーブン・キングの『ドリームキャッチャー』1巻。

「クソは変わらず日付が変わる」。
通称SSDD。
Same Shit Different Day。

いつもの変わらない日常。
結局そのまんま何も変わらないまま時だけが過ぎていく、なんていうなんとも消極的な合言葉を持つ現在30歳を過ぎた幼少期からの幼馴染達。

そんな彼らが山へ狩りにでかけ、遭難者と出会ったところから運命の歯車が狂い始める。

なにかが起きている。
明らかになにかが起きている。
しかし、それがなんなのかさっぱり分からないが読者の不安だけをどんどん煽っていくというなんとも気持ちの悪い1巻目。

なんだろうな…
一言で言うなら「不気味」。

また現在と過去が入り乱れながら進んでいくのも先が読めなくて、ある意味不安だ。
幼馴染4人組の友人の存在は一体なにを意味するのか。
そしてなによりも遭難者のマッカーシーは一体何者であるのか。
もはや「怪しい」ということしかわからないよなぁ。

1巻だけじゃなんとも言いがたい小説。
あぁ。
これは先をしっかり読めってことなんだろうな(笑

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ドリームキャッチャー2
Dreamcatcher VOl.2

スティーブン・キング Stephen King
訳:白石朗
新潮文庫
(2008.12/17読了)

ヘンリーは自分にいいきかせた。
≪生きたまま食われるのは願い下げだ……あんな物に食われるのは……≫

『ドリームキャッチャー2』本文より

『ドリームキャッチャー』2冊目。

1巻目が序章。
この2巻目は「接触」といったところだろうか。
ついにはじまった悪夢との接触。

謎の不思議な光からすべては始まり、ついに「奴ら」が接触しだした。
じわりじわりとやってくる恐怖の描かれ方がかなり不気味。

なんともアメリカ的な恐怖なんだけど、底がつきない恐怖とでもいうのだろうか。
ぶっちゃけ怖いです。
どれだけ抵抗しようともどこまでも追い詰めてくるような感じの怖さなわけですが。

2巻が接触のような感じでストーリーが進んでいった。
次はどうだろう。
この接触が拡大しそうな予感がする。

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ドリームキャッチャー3
Dreamcatcher VOl.3

スティーブン・キング Stephen King
訳:白石朗
新潮文庫
(2008.12/28読了)

ヘンリーは片手でつるりと顔を撫でると、深々と空気を吸い込んで吐き出した。「わたしたちがどこにむかうべきか、なにをしなくてはいけないかがわかったんだ」

『ドリームキャッチャー3』本文より

ラストスパートがかかってきた3巻目。
地球を襲う恐怖。
その原因と考えられるいくつかの不可解な出来事。
ミスター・グレイの出現、寄生生物などなど。

だが、しかしそんなところはまだまだ原因から発生した結果に過ぎなかった。

盛り上がってきた。
過去と現在を行き来し、実に不可解な出来事が次々に現れ、物語はカオスと化していった。
だが、3巻目でついに終着点が見え始めた。
なんだこの収束していく感じは。
その力強い結末へと持っていく力がなんとも圧巻。

ラスト1冊。
どうこの物語を終わらせてくれるのか楽しみだ。

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ドリームキャッチャー4
Dreamcatcher VOl.4

スティーブン・キング Stephen King
訳:白石朗
新潮文庫
(2008.12/31読了)

「尻割って死ねよ、このクソ野郎」ヘンリーがいい、ジョーンジーは笑みを浮かべたまま闇のなかに滑り落ちていった。

『ドリームキャッチャー4』本文より

『ドリームキャッチャー』最終巻。

人類を襲う悪夢ついに決着。

過去と現在が密接に係わり合い、宇宙人も新種の病原体も襲来しどんどんカオスへ向かう。
そんな映画やSFの超大作をごちゃまぜにしながらも、なぜかひとつの終着点に向かったなんともふしぎな作品でした。

ジャンルとしてはアクション+SF+ホラーをまさか平気でやってのけやがるとは。
そのくせ女性なんてほっとんど出てこなかったんだが。
だってそりゃ主人公は4人の幼馴染のおっさんだもんなー。

それでも面白い、怖いと思わせる描写がなんとも素敵。
ってかもうSF好きにはたまらんよ(笑

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